『登山日記・羊蹄山Ⅱ』-再び羊蹄山へ-
こんにちは、ご訪問頂きありがとうございます。
『登山日記・羊蹄山』シリーズで紹介しましたように、初めての高山・羊蹄山(コースタイムは個人差はありますが「往復で約10時間」といいます、私なら少なくても2~3割増しで予定をたてないと…)に挑戦しましたが、これまでにない急坂の登りに時間がかかってしまい、さらに外輪山では視界1~2mの濃いガスに囲まれ下山予定時刻を大はばに超過し時間切れで残念ながら登頂を果たすことができませんでした。
それまでいくつかの低い山に登り私なりに経験を積んだつもりでいましたが、まだまだ経験が足りなかったのでしょう、上りに時間がかかり過ぎたことも登頂できなかった理由の一つだったと思われます。
↑ 真狩村に入り、道の駅方面に向かう途中の路上から見えていた羊蹄山
※ 以下の動画には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際して音量にご注意ください。
無念の下山をしながら心に秘めた思い「再挑戦の誓い」を果たすべく、その翌年「日の短い秋」ではなく日中の時間に余裕のある「夏」に「リベンジ登山」(ちょっと?かなり? 大袈裟ですが…)を敢行しました。
そこでその時の様子を「登山日記・羊蹄山Ⅱ」シリーズとして、今回から紹介していきますので、よろしくお願いします。
(訪問日:2019年(令和元年)8月上旬)
↑ 湧水スポット「羊蹄山の湧き水」、そこから見えていた羊蹄山
さて1回目の今回ですが、実は羊蹄山再挑戦の登山は別シリーズ「道南の旅」で紹介しています函館など渡島地方への旅の帰り道の中で羊蹄山にも立ち寄り1日かけて登ってきました。
前回は羊蹄山にある4つのコースの内の初心者向きの「倶知安コース」でしたが、距離的に短く傾斜もわりと緩やかなコースとは言えまた同じコースを行くのはつまりません。
↑ これまでにも何度か旅の途中でお世話になっている「道の駅 真狩フラワーセンター」
そこで今回は初心者向けコースの中でも一番人気という「真狩コース」を登ってみることにしました。
それで前日は真狩コースの登山口がある羊蹄山の麓のキャンプ場で車中泊をして、例によって翌日の早朝に出発しようという予定でした。
その前日というのがこれまた素晴らしく晴れ渡った一日で、「できればこの日に登りたかった」と今でも悔やむほどの天気に恵まれた日でした。
※ 以下の動画には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際して音量にご注意ください。
↑ 道の駅(村長が設置したという有料の望遠鏡があります)から見えていた羊蹄山
※ 以下の動画には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際して音量にご注意ください。
その日の午前中には真狩村に着いたのですが、それから登山するのは無謀以外の何物でもありません(「避難小屋で一泊して翌朝山頂へ」というのも「有り」ですが…)。
翌日もまたこのひのようなすばらしい天気になることを祈って止みませんでした(「利尻山」へ行った時もこんな感じの天気だったことを思い出しました)。
ということで到着したその日は持て余すほどの時間に余裕がありましたので、真狩村の道の駅と湧水の里に立ち寄ってから、宿泊場所のキャンプ場へと向かいました。
『 羊蹄山えぞ富士 1898m (説明板より)
●名前の由来
その昔、アイヌ語でマッカリヌプリまたはマチネシリ(雌岳)といわれていました。江戸時代になると和人は後方羊蹄山(シリベシヤマ)と呼ぶようになりました。
現代では、「えぞ富士」という俗称で親しまれています。
●羊蹄山のおいたち
北海道西南部随一の高さ(1898m)を誇り、整った円錘形を示す死火山です。生成は洪積世末期から沖積世初期(約1万年前)といわれとおり、洞爺湖のできた約3万年前に比べるとかなり新しいものです。
典型的な成層火山(コニーデ)で、主に3回に及ぶ噴火で流れ出た溶岩によって本体が形造られ、現在の大火口は3回目の噴火口です。
●羊蹄山の植生
羊蹄山のような独立峰では、木や草花の様子が変わっていく植生の垂直分布がはっきりしています。
1900m
↕ ハイマツ帯
9合目 1700m
↕ ダケカンバ帯
6合目 1200m
↕ エゾマツ・ダケカンバ帯
3合目 700m
↕ 低山性広葉樹林帯
●羊蹄山の高山植物
標高1700m以高に高山植物が見られます。その種類は80種を数え、土壌や地形など環境の違いによって生えている植物も変わります。
高山植物を楽しむには、7月上旬~8月上旬までが適しています。
イワヒゲ・イワウメ・コメバツガサクラ類・イワブクロ・イワギキキョウ・ミヤマオダマキ・タカネキタアザミ類・イマツ・コケモモ類・エゾカンゾウ類・キバナシャクナゲ・エゾノツガザクラ・ミヤマキンバイ・ハクサンチドリ類・イワイチョウ類
●羊蹄山の動物
キタキツネ・イタチ・エゾクロテン・エゾリス・シマリス・エゾモモンガ・エゾユキウサギなどの哺乳類が生息し、野鳥は130種以上確認されています。 』
↑ 真狩キャンプ場から見えている羊蹄山、「山頂はどの辺りになるんだろう?」と思いながらズームしてみました
↑ テントサイトの一角に「八洲秀章音楽碑」がありました
国道5号線(羊蹄国道)を北上し蘭越町市街地を通過、さらにニセコ町に入り途中の交差点でさらに道道66号線に入りました。
道道66号線を真狩村に向かって走っていると、真狩キャンプ場のある羊蹄山自然公園への入口の手前左手に「羊蹄山の湧き水」という湧水スポットが見えてきました。
羊蹄山周辺の湧水スポットとしては、他にも国内最大級という京極町(きょうごくちょう)の「ふきだし公園」(「道の駅 名水の郷きょうごく」隣り)の「ふきだし湧水」も有名で、北海道3名水の一つとなっています。
※北海道3名水・・・昭和60年(1985年)に環境庁(現;環境省)が選定した「名水百選」の中で北海道から選ばれた「甘露泉水」(利尻富士町)、「ナイベツ川湧水」(千歳市)、「羊蹄のふきだし湧水」(京極町)のことです。
↑ 「支笏洞爺国立公園 羊蹄山地域真狩口案内」案内板と標柱
水汲み場があり蛇口も設置されているので汲みやすく、大きなポリタンクをいくつも置いて水を汲んでいる光景が見られました。
正午をすでに過ぎていましたので、途中のコンビニで昼食を買い込んでから「道の駅 真狩フラワーセンター」に向かいました。
道の駅真狩フラワーセンターは、これまでの旅の中で何度となくお世話になっていますが、ここから見える羊蹄山は素晴らしくライブカメラも設置されているくらいで、私は自宅で羊蹄山の姿が見たいときにはいつも利用させて頂いています。
『 羊蹄山登山情報(ようていざんとざんじょうほう) (説明板より)
羊蹄山(ようていざん)には4つのコースがあります。低地(ていち)から高山帯(こうざんたい)への植物(しょくぶつ)の垂直分布(すいちょくぶんぷ)を観察(かんさつ)しながら登(のぼ)ることができます。登山道(とざんどう)はどのコースも急(きゅう)な傾斜(けいしゃ)が続(つづ)く登山道(とざんどう)で、登(のぼ)りに5~6時間(じかん)、下(くだ)りに4~5時間程度(じかんていど)かかります。
倶知安(くっちゃん)コース
半月湖(はんげつこ)を起点(きてん)とする登山道(とざんどう)で、真狩(まっかり)コースに次(つ)いで利用者(りようしゃ)が多(おお)いコースです。途中(とちゅう)、風穴(ふうけつ)を見(み)ることができます。明治(めいじ)37年(ねん)に地元登山会(じもととざんかい)などの有志(ゆうし)により、切(き)り開(ひら)かれました。
真狩(まっかり)コース
当真狩(とうまっかり)キャンプ場(じょう)を起点(きてん)とするコースで、4コースのうち最(もっとも)も利用者(りようしゃ)が多(おお)いコースです。途中(とちゅう)、有珠山(うすざん)・洞爺湖(とうやこ)・駒ヶ岳(こまがだけ)まで眺望(ちょうぼう)できます。
京極(きょうごく)コース
登山道(とざんどう)として最(もっと)も古(ふる)いルートです。標高(ひょうこう)1,600m付近(ふきん)に観望台(かんぼうだい)があり、札幌近郊(さっぽろきんこう)の山々(やまやま)がよく見(み)えます。岩場(いわば)の崩壊(ほうかい)が進(すす)んでいるので足場(あしば)には注意(ちゅうい)が必要(ひつよう)です。頂上近(ちょうじょうちか)くの岩礫帯(がんれきたい)の高山植物(こうざんしょくぶつ)は見応(みごた)えがあります。
羊蹄山避難小屋(ようていざんひなんごや)
俱知安(くっちゃん)、真狩(まっかり)コースの9合目(ごうめ)を結(むす)ぶ連絡道(れんらくどう)の途中(とちゅう)にあり、6月中旬(がつちゅうじゅん)から10月上旬(がつじょうじゅん)まで、高山植物監視員(こうざんしょくぶつかんしいん)を兼(か)ねた管理人(かんりにん)が常駐(じょうちゅう)しています。避難小屋(ひなんごや)に水(みず)・食料(しょくりょう)はありません。
喜茂別(きもべつ)コース
途中(とちゅう)、沢(さわ)の崩壊(ほうかい)が大(おお)きく進(すす)んでいるため、足場(あしば)には充分注意(じゅうぶんちゅうい)が必要(ひつよう)です。最高標高点(さいこうひょうこうてん)である喜茂別(きもべつ)ピーク1,898mまでたどるコースで、正面(しょうめん)に尻別岳(しりべつだけ)の全容(ぜんよう)を眺(なが)めることができます。
●山頂(さんちょう)に火口(かこう)があり、外輪山(がいりんざん)を形成(けいせい)しています。この外輪山(がいりんざん)は一周(いっしゅう)できます。
●俱知安(くっちゃん)コースと真狩(まっかり)コースの登山口以外(とざんぐちいがい)では、水(みず)の補給(ほきゅう)はできません。
●トイレは俱知安(くっちゃん)コースと真狩(まっかり)コースの登山口及(とざんぐちおよ)び避難小屋(ひなんごや)にしかありません。できるだけ携帯(けいたい)トイレを携行(けいこう)しましょう。 』
『 登山(とざん)に適(てき)した装備(そうび) (説明板より)
レインウエア(雨具:あまぐ)
天気(てんき)に関(かか)わらず携帯(けいたい)すること。必(かなら)ず防水機能(ぼうすいきのう)のあるものにしましょう。
帽 子(ぼうし)
頭部(とうぶ)の保護(ほご)や、日射病予防(にっしゃびょうよぼう)のために必須(ひっす)です。
弁当(べんとう)・水筒(すいとう)・行動食(こうどうしょく)・非常食(ひじょうしょく)
登山道(とざんどう)では水(みず)・食料(しょくりょう)は補給出来(ほきゅうでき)ません。十分(じゅうぶん)な量(りょう)を準備(じゅんび)しましょう。
シャツ・パンツ
乾(かわ)きが早(はや)く、身体(からだ)の動(うご)きを妨(さまた)げないストレッチ性(せい)のあるものを選(えら)びましょう。
下 着(したぎ)
汗(あせ)を吸収(きゅうしゅう)し、通気性(つうきせい)が良(よ)く、乾(かわ)きやすい素材(そざい)が望(のぞ)ましいでしょう。
ザック
必要(ひつよう)に応(おう)じた大(おお)きさを準備(じゅんび)しましょう。行程(こうてい)と持参(じさん)するものを考(かんが)えて大(おお)きさを選(えら)ぶようにしましょう。
ザックカバー
雨天時(うてんじ)にザックを雨(あめ)から守(まも)るためのカバーです。コンパクトのなります。
ストック・ストックキャップ
歩行(ほこう)バランスの安定(あんてい)と疲労軽減(ひろうけいげん)につながりますが、登山道(とざんどう)を荒廃(こうはい)させたり、植物(しょくぶつ)を傷(きず)つけたりしてしまいます。もし、ストックを使用(しよう)する場合(ばあい)は、必(かなら)ずストックキャップを使用(しよう)してください。
スパッツ
ズボンの裾(すそ)と靴(くつ)の間(あいだ)を覆(おお)うもの。裾(すそ)の汚(よご)れよけや靴内(くつない)への雨(あめ)や土(つち)の侵入(しんにゅう)を防(ふせ)ぎます。
地図(ちず)・コンパス・高度計(こうどけい)
登山(とざん)の持(も)ち物(もの)の基本(きほん)です。迷(まよ)わないために必(かな)ず常備(じょうび)しましょう。
ヘッドライト
天気(てんき)に関(かか)わらず携帯(けいたい)すること。必(かなら)ず防水加工(ぼうすいかこう)のあるものにしましょう。
登山靴(とざんぐつ)
足首(あしくび)がしっかり安定(あんてい)するミドルカット以上(いじょう)のものが望(のぞ)ましいでしょう。
登山(とざん)の心得(こころえ)
●入山(にゅうざん)に当(あ)たって、天候(てんこう)や日没時期(にちぼつじき)および登山道状況(とざんどうじょうきょう)などを事前(じぜん)に確認(かくにん)し、自分(じぶん)の体力(たいりょく)や技術(ぎじゅつ)に見合(みあ)った計画(けいかく)を立(た)て、充分(じゅうぶん)な装備(そうび)と食料(しょくりょう)を備(そな)えて事故防止(じこぼうし)につなげましょう。
●事故発生時(じこはっせいじ)の被害(ひがい)を最小限(さいしょうげん)に食(く)い止(と)めるためにも、行(い)き先(さき)・日程(にってい)は必(かな)ず家族(かぞく)などに知(し)らせておくと同時(どうじ)に、登山計画書(とざんけいかくしょ)を作成(さくせい)し地元(じもと)の警察署等(けいさつしょなど)に提出(ていしゅつ)しましょう。また、登山口(とざんぐち)の入山届(にゅうざんとどけ)に記入(きにゅう)をして下さい。
●ゴミはすべて持(も)ち帰(かえ)りましょう。また、携帯(けいたい)トイレを携行(けいこう)し、トイレのない場所(ばしょ)では排泄物(はいせつぶつ)や紙類(かみるい)は持(も)ち帰(かえ)るよう心(こころ)がけましょう。
●羊蹄山(ようていざん)の高山植物帯(こうざんしょくぶつたい)は、国立公園特別保護地区(こくりつこうえんとくべつほごちく)と天然記念物(てんねんきねんぶつ)に含(ふく)まれています。動物(どうぶつ)や昆虫(こんちゅう)を捕(つか)まえたり、植物(しょくぶつ)を傷(きず)つけたり採(と)ったりしてはいけません。 』
この道の駅に数年前から「観光望遠鏡」(有料)が設置されていますが、観光客の方々に羊蹄山を見てもらうために村長が設置したという話(地元の方の話しているのを小耳にはさんだ程度ですのでその真偽は分かりませんが…)を聞きました。
昼食をとり1時間ほどゆっくりと写真を撮りながら休憩した後、先のコンビニで夕食と翌朝の食料を調達してから「真狩キャンプ場」などがある「羊蹄山自然公園」へ向かいました。
羊蹄山自然公園は2009年(平成21年)にフルリニュウアルされ、キャンプ場、運動広場、森林学習展示館などがあります。
キャンプ場にはバリアフリー対応の管理棟(シャワー室やトイレ、オストメイト設備が有り)、炊事施設、テントなどの貸し出し品も完備されているそうです。
※オストメイト設備・・・オストメイトとは、病気や障害、事故などが原因でストーマ(人工肛門、人工膀胱)と呼ばれる便や尿の出口をお腹に付けている人たちのことを呼びます。オストメイトの方に対応した水栓器具などを設けた設備のことです。
※ 以下の動画には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際して音量にご注意ください。
キャンプ場の広いテントサイトの一角に「八州秀章音楽碑」がありました。
八州秀章(やしまひであき)氏は、「あざみの歌」や「さくら貝の歌」「山の煙」などの曲を作り日本レコード大賞童謡賞を受賞した真狩村出身(同村内には「八州秀章生誕の碑」もあります)の作曲家で、1991年(平成3年)10月に建立されました。
歌手・宇多田ヒカルさんのお母さんの藤圭子さんは、この八州秀章氏のレッスンを受けていたそうです。
管理棟の南側にある「登山者用の駐車場」に車を停め、明るい内に管理棟からキャンプ場内の道を登山口まで歩いて確認した後、車内に戻りいよいよ明日早朝から始まるあの長い、長~~~い山行に備えることにしました。
※ ウィキペディアフリー百科事典「 羊蹄山」、北海道真狩村の観光情報サイトHello!Makkari「羊蹄山自然公園」等を参考にさせて頂きました。
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