『オホーツク~知床の旅』-紋別市海洋公園-
こんにちは、ご訪問頂きありがとうございます。
今回は、「紋別市海洋公園」(紋別市海洋公園1)を紹介します。
(訪問日:2019年(令和元年)9月下旬)
前回では、オホーツク海沿岸を走る国道238号線を南下し「沙留岬」(興部町;こっぺちょう)、「オムサロ原生花園」(紋別市;もんべつし)に立ち寄りました。
さらに南下して左手に紋別港を見ながら、オホーツク流氷公園の手前にある「オホーツクタワー」を目指して海岸に沿って走る道を進んで行きました。
↑ 海洋公園の近くには「紋別港」や「紋別空港」があります。紋別空港に向かっているのでしょうか、上空にジェット旅客機の姿も見ることができました。(画像上右)
紋別市と言いますと、「氷海展望塔オホーツクタワー」や「流氷砕氷船ガリンコ号」が有名です。
海洋公園の駐車場に車を停めると、まずは屋外に置かれている展示物やオブジェなどを見て回ることにしました。
↑ 海洋公園の周辺には変わった形の施設が見えていました、これは「紋別市健康プール『ステア』」の建物です。
↑ こんな建物も見えていました、これは「紋別バイオマス発電所」です。
グルっと見回して一番目につく物と言えば、何といっても堂々とした赤い船体の「ガリンコ号(初代)」です。
ガリンコ号(初代)は1987年(昭和62年)に就航し1996年(平成8年)まで運航した世界初の流氷砕氷観光船(定員32名、翌1988年に2階建てに改造され定員70名になる)でした。
そのガリンコ号を間近に見て、さらに興味を惹かれるのは何といっても船首部分にある大きなネジのような物です。
その名を「アルキメディアン・スクリュー」と言い、あの「アルキメデスの原理」などで有名な古代ギリシアの数学者、物理学者、技術者、発明家、天文学者である「アルキメデス」が考案したのだそうです。
※ アルキメデスの原理:流体(液体や気体)中の物体は、その物体が押しのけている流体の質量が及ぼす重力と同じ大きさで上向きの浮力を受ける
( 紋別市教育委員会 生涯学習課 社会教育係 発行 生涯学習情報誌 令和4年8月17日 第33号【とっかり ~やさしさをはぐくむ~ 】アルキメディアン・スクリューの 『流氷砕氷船ガリンコ号』編 )
4本のアルキメディアン・スクリュー(螺旋型のドリル)を船体全部に装備し、それを回転させて氷に乗り上げ船体重量をかけることで氷を割りながら流氷の中を航行して行きます。
初代ガリンコ号は氷海域での資源開発のために建造された実験船「おほーつく」を改造した船(総トン数39トン)でしたので、沖合に出ることが難しく最長沖合2㎞までの区間内での航行で、増設された展望室以外は客席が露天でした。
『 「流氷砕氷船 ガリンコ号1(初代)」 (説明板より)
「ガリンコ号1」の概要
・総トン数 39G/t ・全長 24.9m ・全巾 7.6m
・深さ 2.3m ・吃水 船首 1.38m 船尾 2.26m
・航海速力 5.8ノット
氷厚 70cm 1.5ノット
20~50cm 2~3ノット
20cm未満 3~4ノット
・定員 70名
「ガリンコ号1」の特徴
ガリンコ号1の特徴は、ネジを回すと食い込んでいくアルキメディスの原理を利用した巨大な4本のアルキメディアン・スクリューです。三井造船(株)がアラスカ油田開発のための実験船として、昭和56年12月26日に建造進水したのが始まりで、その時の船名は「おほーつく」でした。昭和60年の実験終了に伴い、「おほーつく」を㈶日本船用機器開発協会(現(一社)日本船用工業会)及び三井造船(株)のご協力を頂き観光船に改造。定員32名の世界初の流氷砕氷観光船、流氷をガリガリ砕いて進む「ガリンコ号」として紋別市へ傭船され、昭和62年2月1日に就航しました。
その後、昭和63年には2階建の定員70名となり、平成8年3月10日までの10シーズンに渡り、延べ8万人を超える皆様を神秘の流氷海へと誘いました。
「ふね遺産」の認定
平成29年7月18日には、歴史的で、かつ学術的・技術的に価値のある船舟類及びその関連設備を認定している「(公社)日本船舶海洋工学会」より「ふね遺産」に認定されました。 』
初代ガリンコ号の後継船「ガリンコ号Ⅱ」は、総トン数が150トン、定員195名で冷暖房完備の客室と自動販売機や売店も完備され1997年(平成9年)に就航しました。
沖合10㎞までの航行が可能になり、初代で4本あったアルキメディアン・スクリューは2本に減りましたが砕氷能力は氷厚40cmまで進むことができるようになりました。
さらに3階建ての「ガリンコ号Ⅲ IMERU(イメル)」が2021年(令和3年)に就航しています。
尚、ガリンコ号Ⅱの乗り場は、海洋公園内にある「紋別市海洋交流館」(「海の駅」にも指定されています)にあります(基本運航時間は1時間、最大で1時間30分;詳しくは「オホーツク・ガリンコタワー株式会社」のホームページをご覧ください)。
※ 以下の動画の中には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際しては音量に十分ご注意ください。
※ 流氷観光砕氷船としてガリンコ号と並んで有名なのが「網走流氷観光砕氷船おーろら」です。この網走流氷観光砕氷船おーろらは、「南極観測船しらせ」と同じように船を氷の上に乗り上げてその自重で氷を割って進む方式の船です。おーろら号は、網走港にある「道の駅『流氷街道網走』」の乗船場から網走沖に出て能取岬(のとろみさき)を巡って戻る約60分ほどのコースを運航しています。
「紋別港流氷とガリンコ号」は、2004年(平成16年)に「北海道遺産」に選定されています。
※ 北海道遺産:北海道の自然・文化・産業などの中から次世代へ継承したいものとして北海道遺産構想推進協議会が選定した有形・無形の財産群。紋別港流氷とガリンコ号の他には、「稚内港北防波堤ドーム」や「小樽港北防波堤」が選定されています。
展示されている初代ガリンコ号の傍には「試作艇1号機」も展示されています。
その試作艇は、アルキメディアン・スクリューの砕氷能力や氷上の移動能力など極寒の地で水陸両用として使うための検証実験を行うために作られました。
『 AST-001 (試作艇1号機) (説明板より)
AST(アルキメディアン・スクリュー・トラクター)は、1972年2月から実験に使用された。氷上でも海上でも走行ができる「氷海用水陸両用艇」です。
海上から氷の上へ、また逆の移動ができ、薄い氷を砕いて進む砕氷能力を持っています。
現在は実験艇としての役目を終え、ここに展示しております。
重 量/1.6トン
エンジン/空冷2気筒4サイクル
ガソリンエンジン
20馬力×2基
速 力/氷上4.8ノット(最大)
水上3.1ノット(最大)
乗 員/2名 』
その他にも、「ジェットホバー」という高圧空気を噴射して船体を浮かせプロペラの操作で操縦する「ホバークラフト」の小型の物も一緒に展示されていました。
初代ガリンコ号が展示されている近くにある大きなアーチ型の門をくぐると右手に「オホーツクとっかりセンター」の入口、その横には大きな「アザラシ型のすべり台」がありました。
見る方角によって大きな「アザラシのオブジェ」かな…?とも思いましたが、近くによってよく見てみると「すべり台」だと分かりました。
「オブジェ」というと「シャケ」、さらにトッカリセンターからは少し離れた所に「四角い波」と「カニの爪」のオブジェがありました。
四角い波のオブジェは、高さ4.55m、幅6mあり渡辺行夫氏によるもので1996年(平成8年)に設置されたそうです。
『 題名「四角い波」 (説明板より)
オホーツク海を思う時、その思いを受け止め、そして通過させるための門としてこの彫刻を作りました。
私が意図したところを具体的に確認するための鑑賞手順を参考までに紹介します。
1 30メートル程離れた真正面に立ち、オホーツクの景色の一部としてみます。
2 次にゆっくり近づきながら、8メートル程手前で止まります。そして彫刻の間隙から海を見ます。
3 そこから左右に移動しながら曲面の変化を感じとり、また正面に戻ってきます。
4 階段を登って彫刻の表面を手の平でたたきながら間隙をジグザグに通り抜けます。
5 そのまま海の方へ出て終了します。 制作者 渡辺 行夫
材料 中国福建省花崗岩 』
カニの爪のオブジェは、1983年(昭和58年)に行われた「流氷アートフェスティバル」で長崎歳氏・桑原久雄氏・紋別市民らによる共同制作で高さ12m、幅6m、重さ7トンで流氷の時期には海に浮かべていたそうですが、今はずっと陸上に展示しているそうです。
『 カニの爪オブジェ(昭和58年制作) (説明板より)
高さ12m・直径6m・重さ7t(土台部含む)
1982年(昭和57年)「紋別流氷アートフェスティバル」が開催され、約15年間、冬期は海上で展示されていましたが、フェスティバル終了後は紋別のシンボルとしてここに展示しています。 』
それらオブジェのある所から海を隔てて沖合の方に見えていたのが「氷海展望塔オホーツクタワー」です。
氷海展望塔オホーツクタワーは、1階から3階までは入場無料で、3階の展望台からは360度パノラマの世界を楽しめます。
さらに「海底階」(有料)では、窓の外に広がるオホーツク海の自然の様子を見ることができます。
また、水槽をのぞくと「クリオネ」や「キンキ」などのオホーツク海で見られる魚たちを見ることができます。
※ 以下の動画の中には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際しては音量に十分ご注意ください。
海洋公園の周辺にある施設を見て回ったことと、次の地域へ行く時間の関係もありましたので、私はオホーツクタワーには入らず防波堤から眺めるだけに留めました。
機会を見つけて次は流氷がやって来る時期に再び訪問し、オホーツクタワーやガリンコ号から流氷を間近で見てみたいと思いました。
※ 以下の動画の中には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際しては音量に十分ご注意ください。
最後に、駐車場の近くにある「紋別市海洋交流館」(「海の駅」にも指定されています)に寄りました。
海洋交流館はガリンコ号Ⅱの乗船場にもなっていて、その建物の海側の岸壁にはガリンコ号Ⅱが停泊していました。
※ ガリンコ号は基本的に予約が必要ですが、空きがあれば乗船できるそうです。
館内には、チケットカウンター、フードコート、レストラン、お土産ショップ、コンビニ、コインロッカーなどがあります。
また、オホーツクタワーに行く際に、この海洋交流館から無料送迎バスを利用することができます。
↑ カーリングチーム「ロコソラーレ」のこんな楽しい「顔はめ看板」もありました。
※ フリー百科事典ウィキペディア「ガリンコ号」・「アルキメディアン・スクリュー」・「紋別バイオマス発電所」、オホーツク・ガリンコタワー株式会社サイト「オホーツクタワー」・「海洋交流館」を参考にさせて頂きました。
ご訪問頂きありがとうございました。
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