『道東の旅Ⅲ』-学びやの里、キナシベツ湿原-
こんにちは、ご訪問頂きありがとうございます。
今回は、「学びやの里、キナシベツ湿原」を紹介します。
(訪問日:2019年(令和元年)9月下旬)
前回「十勝近代史発祥の地」と「昆布刈石展望台」を紹介しましたが、その二つの場所の間にある「学びやの里」を飛ばしていたことに気づきました。
そこで今回はまずその「学びやの里」から紹介させていただきたいと思います。
一年以上も前に出かけて行った今回の道東の旅、どんな順で取材したのか記憶がだんだん怪しくなってきました、歳はとりたくないものです。
↑ 「学びやの里」の手前で見かけたオブジェ、そこには「和協の里」と書いてありました。
※ 「和協(わきょう)」とは、「仲良くして力を合わせること」という意味だそうです。
学びやの里
十勝近代史発祥の地を後にして国道336号線を東へ向かい、「浦幌十勝川」を渡って十勝太(とかちぶと)という地区を走っていたら、道路左手の野原の中に「何かの碑の様なもの」が目に入ってきました。
この時は時間にも余裕があったので道路脇に車を停め行ってみると、「学びの里」と書かれた石碑でした。
「何の碑なのだろう?」と石碑の裏に回ってみますと、「十勝小学校の沿革」と書かれてありました。
以前ここに「十勝小学校」という学校があって、言われて久しいことですが子どもの数の減少のため学校は閉校となり、これはその「記念碑」のようです。
その傍には「懐古」と書かれたもう一つの石碑もありました。
石碑の周辺は野原が広がっているばかりで学校を思わせるような物はなく、唯一あったのは茂る草の中の「浦幌町立十勝小学校」の名板が付いた校門でした。
↑ [写真右]道路を挟んで反対側に数軒の建物がありましたが、あとは野原が広がっているばかりでした。
※ 浦幌町立十勝小学校は、明治39年(1906年)2月20日開校、平成2年(1990年)3月31日閉校し浦幌小学校へ統合になりました。
キナシベツ湿原
以前に根室本線の駅巡りの取材で直別駅(ちょくべつえき:現・直別信号場)を訪問した時、駅前広場に子ども達の手による「キナシベツ湿原」の案内板を見ていました。
その時は時間に余裕がなく駅の取材だけで次の目的地へ向かいました。
※ マユミ・・・ニシキギ科ニシキギ属の樹木で、日本と中国に自生し、秋には果実と種子ができ紅葉も楽しめます。新芽は山菜(天ぷら・おひたし等)に向いていますが、種を大量に摂ると筋肉の麻痺を起こすため食べてはいけません。
※ アオサギ・・・鳥綱ペリカン目サギ科アオサギ属、日本では亜種アオサギが夏季に繁殖のため飛来します。
その直別駅が利用者減少のため、2018年(平成30年)に旅客扱いが廃止され「直別信号場」となりました。
※ カラマツ・・・マツ科カラマツ属の落葉針葉樹、育苗が簡単で成長が速い特徴があり、材は固く丈夫ですが乾燥後に割れや狂いが出やすい。尾瀬では遊歩道の木道に、東京オリンピック会場の新国立競技場の大屋根などに使用されています。
信号場となった後の様子と、その傍にあるキナシベツ湿原の様子も取材しようと思い立ち寄ることにしました。
※ サワギキョウ・・・キキョウ科ミゾカクシ属の多年草、美しい山野草ですが毒草なので食べられません。
湿原について事前に調べて行かなかったため、今回も中途半端な取材に終わってしまいました。
※ ヤチマナコ(=谷地眼)・・・釧路湿原が有名で、底なし沼とも呼ばれ、水面は小さく見えるのですが底は深く広がっていて壺型(つぼがた)をしています。水面の周囲にはツルスゲ等の地下茎が絡み合ってせり出していたり、植物におおわれていて水面が見えなかったりするので、うっかり歩くと落ち込んでしまう危険があります。
駅前広場に立つ案内板の所から木道が始まっていたので、私はその辺一帯が「キナシベツ湿原」だとばかり思い込んでいました。
※ ヤチハンノキ・・・カバノキ科ハンノキ属の落葉高木、材は軟質で家具や器具に利用され、油分を含んでいるので生木でもよく燃え、良質の木炭の材料にもなります。
樹皮や果実は褐色の染料に使われたり、抗菌作用や消臭効果があり、漢方薬(造血作用)としても用いられています。
動植物を紹介する案内板を見ながら木道に沿って進んで行ったのですが、その途中木の枝や茂る草で木道が遮られている所に出ました。
何とか手で除けながら進めないものか?とも思ったのですが、かなり枝や草が混み合っていてとても先へ進めるような状態ではなく諦めて引き返すことにしました。
今回も案内板にあった「見晴らしの丘」まで行くことはできませんでした。
※ ホザキシモツケ・・・バラ科シモツケ属の落葉低木、花期は6~8月、5~8mmの小さな花で淡紅色、花弁は5枚、円錐花序(えんすいかじょ:花の集団の名前)が密集して8~15cmの長い花穂になり、名前の由来「穂咲」になっているようです。
帰宅してから改めて調べてみると、「キナシベツ湿原」は環境省により「生物多様性保全上重要な湿地-重要湿地」に選定されていること、そしてキナシベツ湿原・音別川(おんべつがわ)・尺別川(しゃくべつがわ)一帯は湿地性鳥類・タンチョウの繁殖地であることが分かりました。
※ ヤチボウズ・・・ヤチ(湿原)にカブスゲ等のスゲ類の植物が盛り上がって株を作ります。葉は秋に枯れ倒れますが湿原では枯れた状態で残り、冬に凍結作用で持ち上げられます。春になり株周辺の土が雪解け水に運ばれながらも枯草の間から新しい葉や茎が育っていきます。これが繰り返されることで40~50cmの高さに盛り上がり、坊主頭の様に見えることからその名前が付きました。
また、北海道有数の広大な湿原で貴重な高山植物や動植物が生息していて知名度は低いですが「自然の宝庫」と言われているそうです。
※ エゾアカガエル・・・両性綱カエル目アカガエル科、体長はオス46~55mm、メス54~72mm、体色は黒褐色から赤茶色、オスには下顎に左右一対の鳴嚢があります。
生息環境は平地や湿地、森林など様々で、肉食性で昆虫やクモ等を食べます。「キャラララ、キャラララ」と鳴き、繁殖期以外で鳴くことはほとんどありません。
さらに大きな勘違いをしていて、私は湿原が駅前広場辺り(信号場の建物と国道の間辺り)に広がっているものとばかり思っていました。
※ ハルニレ・・・ニレ科ニレ属の落葉高木、ニレ、エルムともいわれる。落葉広葉樹で樹高は30m、直径1mにも達し、樹皮は灰色っぽい褐色です。
ところが、確かにそこも湿原の一部なのかもしれませんが、もっともっと広大で貴重な存在のキナシベツ湿原は線路の南側で太平洋岸との間に広がっている、ということでした。
※ エゾノコギリソウ・・・キク科ノコギリソウ属の多年草、茎の高さ10~85cm、葉は長楕円形から披針状線形(ひしんじょうせんけい)で細かい鋸歯(のこぎりば)があります。花期は7~8月で白い花をつけます。
「見晴らしの丘」は直別信号場の東側で、標高15m程の丘の上からは太平洋やヘシヘハケ岬、キナシベツ湿原の様子を眺めることができ、さらに眼下には根室本線の列車が通るというビューポイントなのだそうです。
※ ヨブスマソウ・・・キク科コウモリソウ属の多年草。特徴的なのは、大きな三角形の葉(「ヨブスマ」はコウモリ等の方言名で肢間の皮膜を広げて飛ぶ様に似ていることからその名が付いたという説もあり)と背丈が非常に高く2mを越えるものもあるということです。
春先には山菜として若芽(茎の部分)を茹で水にさらして苦味をとり酢味噌あえ、ゴマあえ、おひたし等食用にできます。
今回も本当に残念な取材に終わってしまい、また近くを通る機会があったら今度こそ見晴らしの丘からの風景やキナシベツ湿原をじっくりと見たい、そしてそれを紹介したいと思いました。
※ ミズバショウ・・・サトイモ科ミズバショウ属の多年草、湿地に自生し発が直後の葉間中央から純白の仏炎苞(ぶつえんほう:葉が変形したもので花ではない)を開きます。
仏炎苞の中央にある円柱状の部分が小さな花が集まった花序(かじょ:枝についた花の配列の様子のこと)です。
葉などの汁は肌に付くと水ぶくれを起こすことがあり、根茎は呼吸困難や心臓麻痺を起こす危険がある毒草です。
※ エゾサンショウウオ・・・有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属、平地から山地にかけての沼沢地周辺に生息します。小さな昆虫やクモなどを食べます。
全長11~18.5cm、頭胴長6~8.7cm、体色は暗褐色や褐色、暗灰色で河川改修や土地開発等により生息数が減少しています。
↑ ここまで順調に進んで来ましたが、ここで倒れた木の枝や茂る草などに行く手を阻まれてしまい、カメラしか手に持たない私は諦めて駅前広場へ戻りました。
※ 「環境省ホームページ・生物多様性保全上重要な湿地『重要湿地』」、「釧路市ホームページ『音別八景』」、ウィキペディア・フリー百科事典『「マユミ」「アオサギ」「カラマツ」「サワギキョウ」「ヤチマナコ」「ヤチハンノキ」「ホザキシモツケ」「ヤチボウズ」「エゾアカガエル」「ハルニレ」「エゾノコギリソウ」「ヨブスマソウ」「ミズバショウ」「エゾサンショウウオ」』を参考にさせて頂きました。
ご訪問頂きありがとうございました。
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