『小樽散歩』-小樽市総合博物館・屋外展示③-

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キ700形貨車 こんにちは、ご訪問頂きありがとうございます。

 今回も、前回に引き続き「小樽市総合博物館・屋外展示③」(小樽市手宮1丁目)を紹介します。

 小樽市総合博物館は、「旧小樽交通記念館」に「小樽市博物館」と「小樽市青少年科学技術館」を統合して平成19年(2007年)7月に開館した施設です。

 機関車庫三号

 前回にも紹介しましたが、「機関車庫三号」です。明治18年(1885年)竣工、現存する我が国最古の機関車庫です。

機関車庫三号 機関車庫三号

 この車庫内に収納されていた車両は、「7150(大勝号)」と「キハ03 1」です。

機関車庫三号 機関車庫三号

 7150(大勝号)

 1893年(明治26年)に製造された(官設鉄道神戸工場)860形に次いで日本における国産第2号機関車(北海道炭礦鉄道手宮工場で製造)で、現存する最古の国産機関車です。

7150大勝号 7150大勝号

 車両の完成した時、日本が日清戦争に勝ったことを記念して「大勝号」と名付けられたそうです。

7150大勝号 7150大勝号

 キハ031

 国鉄キハ01系気動車で、日本国有鉄道(国鉄)が製造した閑散線区用の小型気動車で、キハ01形・キハ02形・キハ03形・キユニ01形があります。

 閑散ローカル線の収支改善と増発のためにバスの設計を鉄道車両に応用して製造されたものです。

キハ03 1 キハ03 1 

 キハ03形は、北海道用の酷寒地仕様で二重窓やスノープラウ、ホイッスルカバー等が装備されていました。

 キ718とキ752形貨車

国鉄キ700形貨車です。

キ752・キ718はジョルダン車と呼ばれ、駅構内や操車場で使われた広幅除雪車(「貨車」なので、機関車に連結して除雪を行う)です。

キ700形貨車 キ718

 ジョルダン車とは、前面に除雪用の翼をもち、左右に広げて線路の周囲の広い範囲を除雪する雪かき車で、大きな雪の抵抗を受けるためあまり深い雪には使えません。

キ718 キ718

 1926年(大正15年)にアメリカから輸入し、それを参考にして翌1927年(昭和2年)に国産化しました(キ400形)。

キ718 キ718

 輸入された車両は、台枠の端部に前鋤、中央部に雪かき翼とそれを開閉する空気シリンダー・エアタンクのみの構造でしたが、国産化した車両では木造の乗務員室(操縦室)が備えられました(キ400~414、キ715~723)。

キ752 キ752

 戦後製のキ721~キ723は、乗務員室を鋼製化されました。

 車体に塗られている黄色の帯は、「速度制限運用車」を示す「黄1号」(最高速度65㎞/h未満)の帯です。

キ752 キ752

 1979年(昭和54年)から1983年(昭和58年)にかけて苗穂工場で近代化改造工事が行なわれ、翼の駆動を油圧式、車体はディーゼルエンジンを積んだ箱型となりました(750番台の車両)。

キ752 キ752

 近代化した750番台は、キ100形(国鉄初の単線用鋼鉄ラッセル除雪車)の置換用途として本線でも使用されていました。

 他の施設に保存されている車両としては、キ703が北見相生駅跡に、キ704が河東郡音更交通公園に、キ756が三笠鉄道記念館に保存されています。

 機関車庫一号

 明治41年(1909年)竣工、三号は「フランス」積みのレンガですが、ここは「イギリス」積みです。屋根は、後ろに下る「流屋根」です。

機関車庫一号 機関車庫一号

この車庫内に収納されていた車両は、「キ800」と「キ601」です。

機関車庫一号 機関車庫一号

 キ800

 事業用貨車(国鉄キ800形貨車)で日本初の「マックレー式除雪車」です。

 外国から輸入した車両を手本とせず、札幌鉄道局工作課長羽島金三郎氏が技師マックレー氏の技術を参考にして設計したそうです。

 本車は動力を持たないため、運用には機関車の次位に連結されます。

キ800 キ800

 除雪装置として「八」の字に開く翼を持っていて、除雪装置部分を後方に向けて翼を使って雪の壁を崩して線路の中央に向けて落としながら走ります。

 そして、中央に集められた雪を跳ね飛ばすために間をあけて後方にロータリー式雪かき車、それを後押しするための機関車の計4両が連結される通称「キマロキ編成※1」で使用されました。

キ800 キ800

 本車も高速化不適格車として最高速度65㎞/h未満の「黄1号」の帯がついています。

 キ601

 事業用貨車(国鉄キ600形貨車)で「ロータリー式除雪車」です。

 日本初のロータリー式除雪車として、1923年(大正12年)にアメリカで製造されたものが輸入され、日本の工場で組み立てられました。

キ601 キ601

 車体内にボイラーと蒸気機関を備え、その動力によって車体前部の羽根車を回転させます。

キ601 キ601

 羽根車は左右どちらにも回転させることができ、上部に設けられた案内蓋の向きで投雪方向を変えることができました。

キ601 キ601

 他の施設に保存されている車両としては、キ604が名寄市北国博物館に、キ621が福島県西会津町如法寺に保存されています。

※1 [キマロキ編成]

 豪雪地帯で見られた鉄道の雪かき車※2 の編成のことです。先頭から機関車の「キ」、マックレー車の「マ」、ロータリー車の「ロ」、最後尾の機関車の「キ」の4両からなり、頭文字を並べて「キマロキ編成」と呼ばれました。

 ラッセル車に押し退けられた雪は、やがて線路脇に高い雪壁を作り除雪の効果が薄くなってきます。そのため線路脇の雪壁を崩し線路から離れた場所に投雪するために運行されました。

 マックレー車やロータリー車の負担を考慮し、時速10㎞/h程度の低速度で運行されました。回送時には4両連結されていますが、除雪時にはマックレー車やロータリー車は切り離され、「キマ」+「ロキ」の2両編成2本になり「キマ」が先行し「ロキ」が追従する形態で運行されることが多かったようです。

 名寄市北国博物館では、旧国鉄名寄本線の軌道上に静態保存・展示されています。

※2 [雪かき車]

 雪かき車は貨車の一種で線路の除雪に使われる事業用車です。日本で実際に使われた雪かき車の種類としては、ラッセル車※3・マックレー車・ロータリー車・ジョルダン車・ローダー車※4の5種類があります。

 貨物は積載しませんが鉄道車両の分類上、便宜的に「貨車」の一種として分類されています。日本の国鉄での記号は「キ」です。

※3 [ラッセル車]

 前方に排雪板(ブレード)を装着し、進行方向の片側もしくは両側に雪を掻き分ける雪かき車です。豪雪時には線路脇に排雪するスペースがなくなり「キマロキ編成」が使われることになります。

※4 [ローダー車]

 前の翼で雪を掻き込み、うずまき粉砕機を通してベルトコンベアに押し上げて処分します。

※ ウィキペディアフリー百科事典「小樽市総合博物館 」、「小樽市ホームページ:小樽市総合博物館」、「国鉄キハ01系気動車」、「国鉄7150形蒸気機関車」、「国鉄キ700形貨車」、「雪かき車」、「国鉄キ800形貨車」、「国鉄キ600形貨車」、「雪かき車」を参考にさせて頂きました。

 ご訪問頂きありがとうございました。

 

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