『道東の旅Ⅲ』-サルボ展望台-
こんにちは、ご訪問頂きありがとうございます。
今回は、「サルボ展望台」(上川郡標茶町(かみかわぐんしべちゃちょう)字塘路)を紹介します。
(訪問日:2019年(令和元年)9月下旬)
前回で紹介しました「コッタロ湿原展望台」を後にして、国道391号線まで戻りました。
『 釧路湿原マップ (説明板より)
釧路湿原国立公園
釧路湿原国立公園は1987年に誕生しました。面積は28,788haで、その約4分の1は、湿原の中核として特別保護地区に指定されており、特に厳しく保護されています。当公園は、山岳や海岸が中心であったこれまでの国立公園とは異なり、湿原という広大な水平的風景を楽しめることが大きな特徴です。 』
『 サルボ展望台・サルルン展望台 (説明板より)
国道から延びる展望台までの道は樹林が多く、山歩きの雰囲気を楽しめます。展望台からは、左手奥に塘路湖(とうろこ)、手前にはサルルン沼、ポン沼、エオルト沼など大小の湖沼群が間近に望まれ、他の展望台とはひと味違った「湿原と湖沼」の景観を眺めることができます。少し足を延ばせばサルルン展望台があります。
塘路湖(とうろこ)は約6千年前には「古釧路湾」と呼ばれる入り海でした。その後、海が退き泥炭(でいたん)が堆積(たいせき)して釧路湿原が形成される過程で残された湖沼の名残が、この湿原東部にある塘路湖、シラルトロ湖及び達古武湖(たっこぶこ)です。これらの湖沼は海が後退した後も水を湛(たた)えたまま残った湖であることから「海跡湖(かいせきこ)」と呼ばれています。 』
この辺りは北海道は言うに及ばず日本最大の湿原「釧路湿原」の真っ只中になりますので、あちらこちらに眺望のすばらしい展望台があり、この日は一日「展望台」を「はしご」して歩く日となりました。
いよいよその「はしご」の最後なる展望台「サルボ展望台・サルルン展望台」へ向かいます。
国道391号線の合流し左折し北上して「シラルトロ沼」方面へ進みます。
湿原の中で最大の湖で阿寒湖と同様に「マリモ」が生息している塘路湖(周囲;約18㎞、面積;約6.3㎡)を右手に見ながら1kmほど行くと、大きな右カーブを過ぎてさらに左カーブへ差しかかる辺りに「サルボ展望台」へ向かう観光客用の駐車スペースがあります。
『 サ ル ボ 展 望 台 (説明板より)
サルボという地名は、アイヌ語でサル(葦原、湿原)、ポ(子)、つまり小さい葦原(湿地)の意味です。サルボの山には、約七千~四千年前に塘路湖が海だった頃の縄文人の竪穴住居が数多く残っています。
サルボの山に生息する生物たち
サルボ展望台眼下には、塘路湖やサルルン沼などの湖沼群が点在していて、多くの水中昆虫の貴重な生息場所になっています。
特に、湖沼で幼虫時代(ヤゴ)を過ごし羽化した多くのトンボが、成熟するまでの期間を安全に過ごすために、このサルボの山もとても大切な生息場所となっています。
塘 路 湖
眼下の塘路湖には、イサザアミという海にしかいないエビがいて、約7千年前には、ここが海であったことを証明しています。
また、ベカンベと呼ばれるヒシの実がとれ、その実は、澱粉質に富むことからかつては、この地方で生活していたアイヌの人たちの貴重な食料となっていました。
標茶町天然記念物の指定されている目の真っ赤なアカメイトトンボも、このベカンベの葉の上を生活の場所としています。
現在、塘路湖では、カヌーによる自然環境を生かした観光や、ワカサギ漁を中心とする漁業が行われています。
アカメイトトンボ
目の赤いのが特徴のイトトンボで、標茶町指定天然記念物として保護されています。
エゾカオジロトンボ
顔におしろいを塗ったような白い顔が特徴。春のトンボで5月~6月にみることが出来ます。標茶町で発見され、町指定天然記念物として保護されています。
エゾイトトンボ
6月に大きな群れを作って笹の葉等に止まり、人が近づくと一斉に舞い上がる瑠璃色をした美しいイトトンボです。
アキアカネ
10月小春日和のよく日なたぼっこをしている姿を見かける赤トンボの中では、一番長生きをするトンボです。
セミの大合唱
6月~7月エゾハルゼミが一斉に羽化し、サルボの山にセミの大合唱が現れることがあります。セミの幼虫の抜け殻が、ナラ等の樹木の幹に無数についているのが見られ、その鳴き声の大きさにただ驚くばかりです。
エゾハルゼミの幼虫の抜け殻
周辺の樹木をあなたも探してみては、いかがでしょうか?
エゾハルゼミ
ヨーギィ ヨーギィと鳴いているように聞こえますが、皆さんはどのようにきこえますか?
※ 湿原の自然、歴史などについては、標茶町郷土館、塘路エコミュージアムセンターへ 』
その駐車スペースに車を置き、150mほど戻った所にサルボ展望台へつながる散策路の入口があります。
散策路入口から木の階段など登山道を思わせるような道を500mほど登りおよそ20分位でサルボ展望台に着きました。
木造の建物の最上階が展望台になっていて双眼鏡も設置されてありました。
そこからは眼下には塘路湖が広がり、エオルト湖やマクントーを見ることができます。
サルボ展望台の見所の一つに、湿原の中を道路とJR釧網本線(せんもうほんせん)が通っていることで、特に湿原の中を走る列車が見られることから鉄道ファンの撮影スポットとしても人気があります。
※ 以下の動画には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際しては音量にご注意ください。
JR釧網本線には、夏は「湿原の中をのんびりと走るノロッコ号」、冬は「煙をはきながら走るSL冬の湿原号」が走っている風景は「最高の絵(写真)」になるでしょう!
私も鉄道には大へん魅かれますが、そこから見える阿寒の山々「雌阿寒岳や雄阿寒岳」の姿も見逃せません。
ただ私が訪問したこの日は、あいにく山頂に雲がかかっていて山全体の姿が見られなかったことが非常に残念で、機会があったら再訪して雲のない姿を見てみたいと思っています。
※ 以下の動画には風切音や機械音などの雑音が入っていますので、視聴に際しては音量にご注意ください。
もう一つ残念なことに、このサルボ展望台からさらに800mほど奥へ行った所にもう一つの展望台「サルルン展望台」があるのですが、「お知らせ」看板によると「展望台の改修工事のため」にサルボ展望台から奥は通行止めになっていました。
これはもう「ぜひとももう一度ここに来て思い残しを解消しなさい!」という「神様の思し召しかな?」と思ってしまいました。
そう遠くない将来に再訪することを心に決め、サルボ展望台を後にした私でした。
『 サルボ歩道のご案内 (説明板より)
この歩道は、季節によって変化する野鳥の観察や昆虫類の観察に適した、雑木林の中を歩くコースです。
終点の展望テラスからは湿原湖沼群が一望でき、傑出した自然を堪能できます。
湖沼群は水鳥たちの宝庫で、湖面を飛び交う水鳥たちが観察できるかもしれません。
釧路湿原河川の流れのような、ゆったりとした時を過ごすことができるでしょう。
』
※ 標茶町観光協会サイト「サルボ展望台」を参考にさせて頂きました。
ご訪問頂きありがとうございました。
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