『道東の旅Ⅲ』-百人浜-
こんにちは、ご訪問頂きありがとうございます。
今回は、「百人浜(ひゃくにんはま)」を紹介します。
(訪問日:2019年(令和元年)9月下旬)
前々回に紹介しました「黄金道路」(国道336号線)の「望洋台」からおよそ2㎞南下した辺りにある交差点で左折して道道34号線へ入ります。
「えりも岬」方面へ向かう時にはこの道道34号線に入るのですが、浦河町や新ひだか町(旧静内町)方面へ向かう時には国道336号線・通称「天馬街道」(大樹町豊似地区から浦河町と様似町の中間辺りの西幌別地区まで)と呼ばれる道を走る方が近道になります。
そんな関係で、私はこの「百人浜」に行くのはもう数十年ぶりのことで、その訪れた機会も片手の指の数にも満たないほどしかありません。
※ 以下の各動画には、風切り音や機械音などが入っていますので、音量にはご留意ください。
百 人 浜
百人浜は、えりも岬から大樹町方面へ全長約15㎞弓なりにのびている美しい砂浜海岸です。
江戸時代に、海の難所として知られていたえりも岬周辺の海域で南部藩の大型船が遭難しました。
その乗組員の多くの水死体がこの浜に打ち上げられ、生き残った人も飢えと寒さで亡くなり、その数が100人にもなったという悲しい出来事に、その名前は由来しています。
緑化事業観察塔
えりも岬は昔、シラカバやカシワなどの広葉樹の原生林で覆われていました。
明治以降に入植してきた人々などが燃料として木々を伐採したり、牛や馬などの放牧したりして原生林は切り開かれていきました。
そこへきて、えりも岬特有の強風にさらされることで植物を植えても育つことができず砂漠化して行きました。
※えりも岬特有の強風・・・風速10m以上の日が290日もあり、最大瞬間風速が40mを超える日もしばしばあるということです。
砂漠化した大地からの土が強風によって海上およそ10㎞程の沖合いにまで達しました。
そのため海藻類は採れなくなり、回遊魚や沿岸の魚の漁獲量も減少しました。
戸や窓を閉め切っていても砂や土が住宅の中にまで入り込んできました。
そうした中、1953年(昭和28年)に浦河営林署「えりも治山事業所」が開設され、砂漠化してしまったえりも岬の緑化事業が始まりました。
緑化の第一歩は砂漠に草を生やすことですが、その緑化事業もえりも岬の強風に阻まれ、なかなか進んで行きませんでした。
種を蒔いても強風で吹き飛ばされ、やっと芽が出ても根づく前に風で飛ばされてしまうという有様でした。
それでもあきらめず試行錯誤を繰り返す中で、蒔いた種の上に雑海藻を覆うことで種が飛ばされるのを防ぐことに成功しました。
さらにその雑海藻は発芽後の植物の良い肥料にもなることが分かり、やっと緑化が進み出しました。
そうした多くの困難の中で進められて行った緑化事業の様子は、NHKの番組「プロジェクトX挑戦者たち えりも岬に春を呼べ ~砂漠を森に・北の家族の半世紀」の放送の中で紹介されました(DVDにもなって販売されているようです)。
その緑化事業は現在も進行中で、その様子を見られるのがこの「緑化事業観察塔」です。
その最上階にある展望台からは遮るものがないため、えりも岬突端の岩礁から弓なりに続いている百人浜、緑化事業で植栽された道路脇に続いているクロマツ林、夏には水際をノハナショウブが紫色に染めるという悲恋沼などが一望できます。
悲 恋 沼
悲恋沼は、国道の北側にある周囲約400mほどの悲しい伝説をもつ小さな沼です。
道路からは樹木などが繁りその陰になって見えにくくて判りにくいため通過してしまう人も多いようです。
この沼の悲しい伝説、和人の青年とアイヌの娘は恋に落ち想いを交わす仲となりました。
しかし、やがて蝦夷地(北海道)での生活を終え内地(本州)へ帰る青年との別れの日がやって来ました。
二人は叶わぬ恋を嘆き、あの世での再会を誓い合い別れます。
涙にくれる娘の姿はいつの間にか海辺から消え、ある日ぽっかりと沼が現れました。
娘が流した悲しい恋の涙でできた沼、それが「悲恋沼」と言い伝えられるようになりました。
百人浜オートキャンプ場
悲恋沼周辺への木道入口にある駐車場からさらに奥へ進んで行くと、「百人浜オートキャンプ場」があります。
利用期間は4月から10月までで、バンガローやオートサイト、テントエリア、炊事棟などがあります。
管理棟にはコインランドリーやシャワー室(有料)があり、隣接している「高齢者センター」で入浴することもできます。
尚、詳しくは「百人浜オートキャンプ場」で検索され、公式サイトをご参照ください。
※ えりも町サイト「風のまち『えりも』観光ナビ・百人浜 」、「北海道森林管理局サイト『山を治め生活を守る―えりも国有林治山事業』」、「風のまち『えりも』観光ナビ 悲恋沼」を参考にさせて頂きました。
ご訪問頂きありがとうございました。
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